19.飯豊山(いいでさん)(1)  2,105m

 
 山形・福島・新潟県境。飯豊連峰(越後山脈北部)。

登頂日: 平成8年(1996年)8月4日(日)
天 候:
行 程:
 
奥胎内ヒュッテ-足の松尾根登山口-大石山-頼母木小屋(泊)-
北股岳-御西小屋(泊)-飯豊山-切合小屋-弥平四郎登山口

8月2日(金)
  6:05. 奥胎内ヒュッテ発
  7:00. 足の松尾根登山口発
  8:20. 姫子の峰
  9:30. 20分休憩、軽食
  10:20. 水場
  12:20. 大石山着、 12:30. 発
  13:30. 頼母木小屋着(泊)
8月3日(土)
  5:00. 頼母木小屋発
  6:25. 地神山
  7:00. 扇の地紙、 20分休憩
  7:50. 門内岳、  10分休憩
  9:05. 北股岳着、 9:30. 発
  10:00. 梅花皮小屋
  10:30. 梅花皮岳、 10分休憩
  11:05. 烏帽子岳
  12:25. 御手洗ノ池着、13.05. 発
  13:35. 天狗の庭
  14:30. 御西小屋着(泊)
8月4日(日)
  4:15. 御西小屋発
  4:55. 玄山道分岐
  5:10. 駒形山
  5:30. 飯豊本山山頂着
  5:40. 山頂発
  6:00. 頂上小屋
  7:20. 草履塚
  7:30. 10分休憩
  7:50. 切合小屋
  8:40. 15分休憩
  9:35. 三国小屋着、 10:20. 発
  11:00. 疣岩山
  11:45. 松平峠、  10分休憩
  12:35. 10分休憩
  13:05. 祓川山荘
  13:20. 弥平四郎登山口着
 
8月2日(金)
  3:00.自宅を車で出発。 夜が明けても陽は射さず、霧の中を今日の天気を心配しながら車を走らせた。
  5:30.奥胎内ヒュッテ着。 奥胎内ヒュッテはブナの原生林の中にひっそりと建てられている。一般車はここまでで以後は徒歩となる。持参の朝食を食べる。

  6:05.奥胎内ヒュッテ発。 奥胎内ダム建設のための広い道路を1時間弱でコンクリートの大きな橋を渡ると、すぐに足の松尾根の登山口がある。
  7:00.登山口発。 ここからが本格的な登山道。道はすぐに急傾斜となり、ロープが取り付けられている足場の悪い道が続く。しばらくすると尾根道となるが、傾斜は急で尾根は痩せているのに太い松が生えていて、その根が道にいっぱい張り出していて、非常に歩きにくい道だ。足の松尾根とよく名付けたものだ。
  7:50.20分休憩。 8:20.姫子の峰。 8:45.10分休憩。 9:30.休憩20分。
 10:20.水場。細い管から水が流れている(平成17年には水場はなくなっていた)。
 10:40.10分休憩。 11:30.10分休憩。 空は厚い雲に覆われていて、ときに小雨がぱらつき、眺望はまったく利かず、道端に花もない。家内は睡眠不足のためか調子が悪く、30分か40分歩いて10分休むペースだった。
 12:20.大石山着。 足の松尾根の3時間30分の行程に5時間20分かかった。下る人に6、7人会ったが、その人たちの話では、頼母木小屋には水が引いてあり、存分に使えるが、門内小屋の水場は離れているので、泊まりは頼母木小屋の方がよいとのことだった。門内小屋まで行こうと考えていたが、疲れてもいるので今夜は頼母木小屋泊まりと決めた。そうすれば時間は充分にあるので、ゆっくりと花を楽しみながら歩くことにした。
 12:30.大石山発。
 霧で視界は悪く、風も少し強く吹いている。すぐに、丈の低い笹の中に黄色いニッコウキスゲが見え始め、道の端にはヒメサユリがピンクの花を咲かせていた。低草地には、シラネニンジンやイブキトラノオの白い花が風に揺れ、その中にオレンジ色のクルマユリやヤマスカシユリ、あるいは、ハクサンフウロ、ヨツバシオガマ、タカネマツムシソウ、タカネナデシコなどのそれぞれ微妙に異なった紫色の花が咲いていた。
イブキトラノオ、ハクサンフウロ

ハクサンフウロ

ニッコウキスゲ

ハクサンシャジン

 ゆっくりと花の写真を撮りながら登った。写真を撮るのには、曇天、薄い霧で光の具合はよいのだが、風が強く、花が揺れて苦労する。
 13:30.頼母木小屋着。 以後も霧が晴れず、風も強く、夜も一晩中強い風が吹いていて、翌日の天気が心配だった。

8月3日(土)
 4時起床。小屋はまだ霧の中。朝食にラーメンとパンを食べて外に出てみると、小屋は雲海の上、風は少し強いもののよい天気が期待できた。
 今日の行程は御西小屋までの約6時間。門内岳、北股岳、烏帽子岳といくつかの峰はあるが、きつい登りはなく、天気さえよければ稜線の楽しい散歩ができる。
 

  5:00.頼母木小屋を出発。 しばらくしてから雲海の上に太陽が昇ってきた。稜線のハイマツ帯の中にはハクサンシャクナゲが混じり(花は終わっている)、足元には、ゴゼンタチバナ、マイヅルソウ、チゴユリなどが見られた。低草地には昨日見られたような花々が咲き乱れていて、砂礫地には飯豊山特産のイイデリンドウが青紫の小さな花を付け、また、ミヤマウスユキソウの白い花やミヤマダイコンソウの黄色い花が風に揺れていた。北の方に昨日は見えなかった朳差岳がよく見えた。
  6:00.地神北峰分岐。 6:25.地神山。
  7:00.扇の地紙で軽食、20分休憩。
  7:50.門内岳着。
 遠くに飯豊山の山頂部が見える。門内小屋の周囲には花がたくさん咲いていた。
  8:00.門内岳発。
  9:05.北股岳山頂着。
 今日の行程中の最高峰(2,025m)。天気は霧が出たり、日が差したりで遠くの眺望は利かないが、花を見るにはちょうどよい天気だった。
 ヨツバシオガマ、クルマユリ、ミヤマダイモンジソウ、ミヤマクルマバナ、ヤマハハコ、マルバコゴメグサ、ミヤマキンポウゲ、ウサギギク、ニッコウキスゲ、イイデリンドウ、チシマギキョウ、シロウマアサツキ、ゴゼンタチバナ、コバイケイソウ、オオバノヨツバムグラ、イワオウギ、ハクサンフウロ、イブキトラノオ、オタカラコウ、ミツバオウレン、オオバキスミレ、ネバリノギランなど。
  9:30.北股岳発。この頃からときどき霧に包まれるようになった。
 ここまで登山道は、主に尾根の西側の新潟県側で、比較的乾燥している地帯を通っていたが、北股岳を過ぎると、尾根の東側、山形県側を通る。山形県側は雪が多く、沢の上部の尾根のすぐ近くまで雪渓が残っていて、特に烏帽子岳以降は雪渓の上を歩くことが多くなった。
 その雪解け跡には、これまでの乾地性の花とは異なる湿地性の花が見られる。黄色いミヤマキンポウゲやシナノキンバイ、白いハクサンイチゲやイワイチョウ、紫色の可愛いハクサンコザクラなどが咲いている。低地でも見られるイワカガミやショウジョウバカマ、シラネアオイ、キヌガサソウも咲いていた。
 10:00.梅花皮小屋。
 10:30.梅花皮岳着、10分休憩。
 11:05.烏帽子岳。
 12:25.御手洗ノ池、食事を摂る。
 13:05.発。
ヒメサユリ

イイデリンドウ

シロウマアサツキ

シナノキンバイ

 13:35.天狗の庭。
 御西小屋の手前の雪渓の下部で水を汲んだ。
 14:30.御西小屋に到着。 ミヤマキンポウゲの黄色い花に囲まれていた。この頃には空はすっきりと晴れて、小屋からは今まで歩いてきた北股岳、烏帽子岳や飯豊本山が見えた。また、日本海の海岸線や水平線だけでなく、弥彦山や佐渡ヶ島も望むことができた。アシボソアカバナ。
 小屋の南西方向に、飯豊連峰の最高峰である大日岳(2,128m)がその雄大な姿を見せていた。大日岳の往復には約2時間30分かかるとのことだったので、行くことを諦めた。その姿を眺めながら1本1,000円の缶ビールを3本も飲んでしまった。小屋はほぼ満員で2畳に3人くらいのスペースだった。
ハクサンコザクラ

ミヤマキンポウゲ

御西小屋から大日岳

 夕日が佐渡に沈み、辺りが暗くなってくると、西には新潟、南には喜多方や会津の街の明かりがきらきらと輝いて、素晴らしい光景だった。夜も満天に星が輝き、翌日の天気が期待された。
御西小屋前からの夕日

8月4日(日)
 4時起床。外に出てみると小屋は深い霧に囲まれていた。パンとスープで朝食にする。

  4:15.まだ薄暗く、深い霧の中、御西小屋を出発。
 御西岳付近も、ニッコウキスゲ、ハクサンフウロ、イワイチョウなど花が豊富で、とくにチングルマが多い。5時少し前、風が強くなって霧は吹き払われ、飯豊本山が目の前に姿を現わした。
  4:55.玄山道分岐。
  5:10.駒形山。ちょうど本山の頂上付近から朝日が昇ってきた。身体がよろけるくらいに風はさらに強くなってきた。
  5:30.飯豊山本山山頂着。
 晴、強風。北から西の方向、昨日登ってきた北股岳などの山並みは雲に隠れて見えない。東から南は遠くの山々まで見渡せるが、少し靄がかかっている。山頂付近は岩と砂礫地で、ミヤマウスユキソウやオヤマノエンドウが多く見られる。
  5:40.山頂発。
  6:00.飯豊山神社、本山小屋に着く。
 お守りを買って下山する。急な斜面を30分ほど下ると比較的緩やかな稜線の道になる。
  6:30.10分休憩。
 草原状のところやお花畑が現れる。ムカゴトラノオ、ミヤマトリカブト、マルバダケブキ、シナノキンバイ、オタカラコウ、ミヤマアキノキリンソウ、トモエシオガマ、ヨツバシオガマ、チングルマ、ミネウスユキソウ、ミヤマトウキ、ミヤマリンドウ、ツガザクラ、アカモノ、ウラジロヨウラク、ベニバナイチゴ、カラマツソウなど。
 雪渓の雪解け跡には、シラネアオイ、サンカヨウ、キヌガサソウ、ハクサンコザクラ、オオサクラソウ、ハクサンチドリ、イワイチョウなどが咲いていた。
  7:20.草履塚。切合小屋より少し上にはタカネマツムシソウの群生地がある。
  7:30.切合小屋の上部の雪渓で10分休憩。
 
飯豊本山山頂

飯豊本山を振り返る

チングルマ

ツガザクラ

タカネマツムシソウ

  7:50.切合小屋。 休まずに通過する。この小屋の前には水が引いてある。ここからはあまり高山植物らしい花はないが、ミヤマクルマバナ、ミヤマウツボグサ、ミヤマオトギリが多く、それにクルマユリがところどころに咲いていた。 8:40. 15分休憩。
  9:35.三国小屋着。 昼食を摂る。 10:20.小屋発。
 11:00.疣岩山を通過し、30分くらい急傾斜の痩せ尾根を下る。
 11:45.松平峠着。 10分休憩。 12:35.10分休憩。
 13:05.祓川山荘。さらに15分ほどで沢を渡るとすぐに弥平四郎登山口。
 13:20.弥平四郎登山口着。

 長女に14時に迎えにくるように頼んでおいたが、少し遅れて着いた。
 14:30.登山口発(車)。 18:00.上越市帰宅。

 入浴後、ゆっくりと水割りを飲んだ。テレビではオリンピックの男子マラソンが放映されていたが、眠くて最後まで見られず、21時ころに寝てしまった。
 飯豊連峰はやはり大きな山だった。杁差岳と大日岳に登れなかったのは心残りだが、天候はまずまずだったし、花は十分に堪能した。飯豊には一般的な高山植物のほとんどが見られる。北アルプスでは見られないヒメサユリやヤマスカシユリ、飯豊特産のイイデリンドウが見られたのが今回の収穫だった。

 121. 朳差岳へ    N25. 飯豊大日岳
 

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