100. 宮之浦岳(みやのうらだけ) 1,936m |
鹿児島県、屋久島。 |
登頂日: | 平成10年(1998年)6月28日(日) |
天 候: | 霧、小雨 |
行 程: |
荒川林道登山口−大株歩道−縄文杉−新高塚小屋(泊)− 焼野三叉路−宮之浦岳−投石岩屋−花之江河−阿房林道登山口 |
6月27日(土) 6:50. 荒川林道終点発 7:35. 小杉谷小中学校跡、10分休憩 8:10. 楠川分岐 9:10. 10分休憩 9:35. 大株歩道入口着、10:10. 発 10:35. ウイルソン株、 10分休憩 11:10. 展望台 11:45. 大王杉、 10分休憩 12:40. 縄文杉着、 13:20. 発 13:30. 旧高塚小屋 14:25. 新高塚小屋着(泊) |
6月28日(日) 5:00. 新高塚小屋発 5:30. 第一展望台、10分休憩 6:00. 第二展望台 7:00. 平石岩屋、 10分休憩 7:35. 平石 8:00. 焼野三叉路 8:30. 宮之浦岳山頂着 8:45. 山頂発 9:00. 15分休憩 10:40. 投石岩屋着、11:00. 発 11:40. 黒味岳分岐 12:00. 花之江河 13:25. 淀川小屋着、14:00. 発 14:45. 安房林道登山口着 |
6月26日(金) 今年は早く梅雨が明けるのではないかと予想して、屋久島行きのために26日から29日まで休暇を取った。奄美地方まで梅雨は明け、鹿児島はまだ明けていないが、梅雨前線は北上して晴の予報だ。ついでに開聞岳にも登る予定。 6:30. 自宅発。 電車を乗り継いで小松へ。小松空港から鹿児島空港へ。飛行機は梅雨前線などに関係なく、その雲の上を飛ぶ。今回はポーターとして息子が同行。鹿児島空港で東京からの息子と落ち合った。リムジンバスで鹿児島市内へ。パンなどの食料を買うのに手間取り、ぎりぎり高速船トッピーに乗った。桜島が眼前に大きく浮かんでいた。 18:05. 安房港着。 快晴で蒸し暑い。港の近くの予約しておいた民宿「鶴屋」に宿泊。翌日の朝食を5:30に、タクシーを6:00に予約。 6月27日(土) 6:00. タクシーにて宿を出発。 6:40. 荒川林道終点に着く。5、6台の車が駐車していた。快晴。 |
6:50. 出発。 すぐにトロッコ道の橋を対岸に渡り、安房川右岸の軌道を上流へ向かう。45分ほどで軌道は左右に分かれる。道標に従い右へ進む。 7:35. 小杉谷小中学校跡着。10分休憩。 8:10. 楠川別れ。三代杉で20人くらいのグループが案内人の説明を聞いていたので一緒に聞く。ウグイス、オオルリ、キセキレイ、メジロ、ヒガラ、シジュウカラ、コマドリ。 9:35. 大株歩道入口着。 軌道はまっすぐ沢を渡るが、大株歩道は沢の手前で右手に入る。この沢は水量が豊富で大きな岩がごろごろあり、休憩にはもってこいの場所だ。今日は天気がよくて気持ちがよい。ゆっくりと食事をした。 10:10. 大株歩道に取り付く。登山道らしくなるが、傾斜はそれほどではない。やっと原生林の中に入った気持ちになった。 10:35. ウイルソン株着。 黒い大きな岩のようだ。切り株の中に祠があり、水が湧き出ている(延命水)。まろやかな味がする。 10:45. 発。 直後10分くらい急登するが、その後トラバース気味になる。一人の高齢の登山者を案内している山岳ガイドの後から、いろいろ説明を聞きながら登った。屋久島特産種としては、ヤクシマカラマツ、ヤクシマタツナミソウ(ヤクシマナミキ?)、ヤクシマガンピなどが見られると。道端のイチゴには、ホウロクイチゴ、フユイチゴ、ヤクシマキイチゴがある、など。 11:10. 展望台。 知らなければ通り過ぎてしまうところだ。ここで初めて宮之浦岳を望めた。快晴で、栗生岳、翁岳、安房岳、投石岳などの稜線が展望できた。 11:45. 大王杉、10分休憩。 すぐ上に夫婦杉がある。ホースで引いてある水場までくると縄文杉まであと1分。立派な木の階段を登り、木の舞台(縄文杉展望台)に上がると、目の前に縄文杉が現れる。 |
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大杉谷 |
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ウィルソン株 |
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展望台から宮之浦岳 |
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12:40. 縄文杉着。 展望台には、先程の2人、一組の夫婦と私たち3人だけで、静かに縄文杉を眺めることができた。この展望台はちょうどよい木陰になっていて、縄文杉を見上げながら何時間でも寝転んで休んでいたいところだ。 13:20. 縄文杉発。 1分くらい登ったところに屋根付きの休憩所がある。途中、道端に数匹のサルがいたので、少し遊んでから登った。 13:30. 稜線に出たところに旧高塚小屋があった。ブロック造りの小さな小屋で暗くて湿っぽくて、ちょっと泊まる気にならない。水は小屋の前の沢にちょろちょろとしか流れていなかった。しかし、ここならば縄文杉の下の水場まで行っても往復15分くらいだろう。 旧高塚小屋からは稜線伝いで傾斜がきつくなる。 14:25. 新高塚小屋着。 |
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縄文杉 |
小屋はきれいで湿気もなく気持ちよい。小屋の前の林の中にパイプで水が引いてある。 その後、宮之浦岳方向から一組の夫婦と男性3人のグループが到着し、この夜の宿泊者は8人だけだった。 6月28日(日) 朝方まで星が見えていたのに、4時半ころにはガスが出てきていた。 5:00. 新高塚小屋を出発。 近くにメジロ、遠くにホトトギスが鳴いていた。すでに歩くのに不自由のない明るさになっていた。 |
5:30. 第一展望台着。 宮之浦岳が一瞬見えたが、すぐに霧に隠れてしまった。 5:40. 発。シジュウカラ、ウグイス、コマドリ、ミソサザイが鳴く。 6:00. 第二展望台着。 20分で着いてしまった。地図の新高塚小屋、第一展望台、第二展望台の位置が違っているのではないかと思う。ここから上は樹高の高い木はなくなる。ヤマボウシの花が咲いていた。ヤクシマシャクナゲはそれぞれの枝の先に白っぽい若葉をつけていた。しばらくして小雨が降り出し、道はヤクザサに覆われて、しかも背を越す高さの場所もあり、笹の露で着衣が濡れるので雨具を着た。ここからずっと宮之浦岳山頂直下の岩場まで、胸から背を越す高さのヤクザサの中の道が続く。雨の日は勿論、晴れていても露がついていれば、上下とも雨具を着けなければずぶ濡れになる。 7:00. 平石岩屋着。 巨岩の下に数人が休める空間がある。相変わらずガスで周囲は見えない。風も少し強くなってきた。 7:20. 発。 ヤクザサの中の道が続く。傾斜はゆるやかで晴れていれば気持ちよく歩けるだろうに。 7:35. 平石着。 ササのない砂礫の広場ですぐ下に水場がある。 8:00. 焼野三叉路。 ここから山頂まではやや急な傾斜を深いヤクザサを掻き分けて登る。 |
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ヤマボウシ、シャクナゲ新芽 |
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宮之浦岳山頂 |
8:30. 宮之浦岳山頂着。 小雨、ガス、やや強い風。眺望はまったく利かない。雨風を避けるところがないので、早々に山頂を発つ。 8:45. 山頂発。 10分ほど下ったところの大きな岩の陰で食事を摂った。 9:15. 発。 こちらの道の方がヤクザサは少なく、また、整備されていて歩き易い。 10:40. 投石岩屋着。 男性が一人、雨宿りをしていた。今日初めて出会った登山者だ。この辺りが最も風雨が強かった。今日は淀川小屋泊の予定だったが林道まで下りられそうなので、息子が先に下り、林道で車の誰かにタクシーを呼んで貰うことにした。 |
11:00. 投石岩屋発。 少し下ると雨はほとんど上がり、霧だけとなった。道は沢のようになっているところも多かったが、この山の岩は表面がザラザラしていて滑らずに歩ける。また、少しずつ花の姿も見えてきて、山歩きを楽しむ余裕も出てきた。ヤクシマと名の着く花では、ヤクシマシャクナゲの咲き残り、ヤクシマノギラン、ヤクシマカラマツ、ヤクシマオトギリ、ヤクシマガンピなどを見つけた。黒味岳附近からは樹高の高い木が多くなってくる。 11:40. 黒味岳分岐。 12:00. 花之江河。 |
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ヤクシマオトギリ |
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12:10. 小花之江河。 花之江河、小花之江河の湿原は湿原としては小規模だが、霧に包まれて幻想的な雰囲気であった。高層湿原としては日本の南限で貴重だとのこと。花之江河からは樹林帯の中の道となる。ヤクシマチドリを見つけた。 13:25. 立派な鉄の橋を渡り、淀川小屋に着いた。小屋はきれいだし、水場も近くて豊富、周囲の雰囲気も気持ちがよい。いまは緑だけだが、紅葉のころは素晴らしい景色になるのだろう。現在は全く2人だけの世界で静寂だ。ゆっくり食事。 14:00. 淀川小屋発。 |
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花之江河湿原 |
14:45. 安房林道登山口着。 途中、登山者3人と淀川小屋まで散策の1組の夫婦に会ったのみ。息子は紀元杉まで下り、そこで観光客のタクシーの運転手に車の手配を依頼して戻って来ていた。 15:15. 登山口発(タクシー)。 途中少し寄り道をして、 16:30. 「屋久島ロイヤルホテル」着。 まだ陽は高かった。 今回の宮之浦岳登山は静かな登山を楽しめた。タクシーの運転手さんの話では、5月の連休には絶対に来ない方がよい、人で溢れているとのこと。天候の具合からみれば、一日目に淀川から宮之浦岳に登り、新高塚小屋まで来た方がよかったようだが、のんびりとウイルソン株を見たり、縄文杉を見ることができたし、宮之浦岳もそれほどの雨ではなかったのだから、満足しなければならないのだろう。 安房林道登山口には電話はないが、紀元杉まで約30分歩けば、余程の季節はずれでなければ、観光客がかなり来ているので、タクシーの手配を頼めるようだ。 宿は、同じ宿泊料金、8,000円で、料理など、民宿より「屋久島ロイヤルホテル」の方がずっとよかった。 99.開聞岳(1)に続く。 |
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