19 「越後瞽女(ごぜ)物語」
 
 2009年10月10日(土)、オアシス上越1周年記念講演から

 市川信夫先生の越後瞽女(ごぜ)の講演は、瞽女の生きた時代と社会を・・。 瞽女の生き様を・・。今の人に伝えたい、こんな世の中だから学ぶことがたくさんあるという先生のつよい思いが、静かな語りゆえに、こころに沁みました。

 市川先生は、皆さんよくご存知の「ふみ子の海」の原作者であり、高田盲学校の教員など障害児教育にあたる一方、児童文学者、高田瞽女研究家として活躍されてます。

 霜鳥先生が、越後の女性は強いと書き込みがありました。私も、今まで瞽女さんのことは、「哀れ」な響きばかりを感じて、本当のことは分かっていませんでした。今回の市川先生の講演から、瞽女さんの強さと明るさに感動しました。その強さはどこから来るのでしょうか??

 瞽女さんとは、見えない女性たちが三味線を弾き、唄を唄い物語を語る旅芸人です。高田瞽女の場合は3人組になって1年の内300日は、旅に出ます。雪の日も日照りの日も、ただひたすら歩いて、地域の人々の中に入っていく。「かなしみ、苦しみ、喜び」を表現して娯楽のない時代の人たちを喜ばせる。

 映像も見せてくださいましたが、地域の人たちも一緒に踊り、歌って、物語りを涙して聴く。演じる瞽女さんの顔はきりりとして美しく、笑みでいっぱいでした。

 見えなくなった女の人が、自立するには、「瞽女さん」か「あんまさん」の時代でした。つらい修行は、人様を喜ばせるため、人様から喜んでもらうために耐える。その結果、自分たちに力がつき、芸人として堂々と唄い・・堂々と語る。土地の有力者の家が「瞽女宿」となり、地域の人たちも瞽女さんの来るのを待ち歓迎する。瞽女さんを敬い、瞽女信仰も生まれる。

 ただの恵みやお情けを受けるのではなく、芸のお礼に「お米」をもらいます。裕福な人だけがお礼をするのではなく、自分たちの食べるものを倹約してでも瞽女さんたちにわたします。お米をもらった瞽女さんたちは次の旅に出るので、そのお米を売りますが、瞽女さんの尊い代価としてのお米は、ご利益があると高く売れるのだそうです。
 地域の人情が瞽女文化を育てる。地域の人の心も育てる。市川先生は社会福祉、相互扶助の原点がそこにあると考えておられます。
 また瞽女さんたちの日常の生活の映像も披露してくださいました。お掃除、衣服の整理、食事、簡素な規則正しい生活など、見えないからこそ、きちんと自分たちなりのルールでお家の中はピカピカでした。

 市川先生に質問しました。
 今、生きる私たちに大切なことはなんですか? 見えない人にも見える人にも何かアドバイスをと、お聞きしました。

・ただ見た目からだけ判断してしまう私たち、目の前の利益だけにとらわれていませんか? 本当に大切なものは目に見えない。見えない人に寄り添って考えていく。
・こうやったら、この人が生きていかれることを、考える(厳しさが必要)。
・ 今のことだけでなく、先に役立つことを考える。
・ 見えない人も、サポートの必要なことは堂々とお願いできるように・・・。
・ 瞽女さんは、常に学ぶことをやめなかった。

 私は、ひたすら『歩く』瞽女さんの姿に、「強さ、しなやかさ、明るさ」の原点が見えたように感じました。
 市川先生のお人柄に魅せられて「ふみこの海」の原作本を買ってきました。先生直筆「NPOオアシスのみなさんへ ふみ子の海に愛の風 市川信夫」と書いていただきました。皆さん一緒に読んでみませんか?

 一緒に行ってくださったオアシスの皆さん、企画運営してくださった上越オアシスの皆さん、有難うございました。こころからお礼申し上げます。

感想:NPOオアシス事務局 小島さん

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