コラム 15
小玉 清さんの遺稿です。小玉さんは、ある大企業の山岳部に所属していましたが、視力低下のため退社せざるを得ませんでした。しかし、新潟あいゆー山の会に入会後は、積極的に山行に参加して下さいました。
この文章は、新潟県視覚障害者福祉協会の福祉だよりに掲載されました。 
遺稿 弱視と白杖

 長岡市 小玉 清

 こんにちは、長岡市の小玉 清です。年齢65歳。子供の頃からの網膜色素変性症で弱視ですが、まだ、単独でスーパーへ行って買い物ができるので喜んでいます。最近では、自分の家の玄関を出る時から、白杖を持って出るようになりました。

 最初は、近所の人に見られるのが恥ずかしかったのですが、今では、道路を歩く時はいつでも白杖を使っています。100メートル先のポストへ行く時も、10分歩いてスーパーへ行く時も、市民センターへ40分歩いて行く時も白杖を使っています。その方が安全で、安心で、スタスタと早く歩けます。雁木(がんぎ)の中を自転車で走って来た、交通マナーを知らない中学生も、年配の人も、スウーットどけてくれます。

 狭い道では自動車も徐行してくれるし、止まって待っていてくれる車もあります。白杖を持っているな!見えにくいんだな!と分るから、注意してくれるんですね。白杖を持っていなければ、相手は、見えるものとして行動して、その結果事故が起きないとも限りません。また、歩道を歩いている時、車道との段差を杖で確認し易いので、車道へ転げ落ちる心配もありません。私が最初に白杖を使ったのは、単独で、電車で長岡から信越線の新井へ行った時です。

 白杖を持っていれば、前もって、駅の窓口で切符を買った時、案内を頼んでおけば当日駅員が改札口から乗り場まで案内してくれるし、下車駅へ連絡して下車の案内もしてくれます。ありがたい事です。
 最初に白杖を持ってから1年くらいは、近所の人に見られるのが恥ずかしくて、折畳んだまま手に持って家を出て、暫く歩いてから杖を伸ばしていました。新潟県視障協の歩行訓練を、役員の人に薦められて受講したことがあります。長岡市民センターにおいて、数回に渡り、講師と1対1のていねいなものでした。

 歩行訓練の内容はよく理解できたのですが、その時はまだ恥ずかしい気持があって、白杖は家には有ったが毎日は使いませんでした。或る日、青信号の途中から急ぎ足で横断し始めたら、途中で赤になってしまい、さらに、急ぎ足で渡り切ろうとした時、大型ダンプが1メートル脇で急ブレーキで停止してくれたのです。平謝りしている時間も無くて渡り切って胸を撫で下ろしました。信号はよく確認せねばならない。今度から、次の青で渡ろう。白杖を持って歩くと、注意深く歩くようになります。周りの人が注意深くしてくれるからだと思います。はずかしいなどと言ってはおれません。白杖を持って歩きましょう。

 車の台数はどんどん増えてきています。交通安全には注意しなければなりません。「安全第一」とよく言われても、実際には「安全」は第2、第3、・・・にされています。恥ずかしがらずに、白杖を持って安全に歩きましょう。
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